キト（スペイン語：Quito, Ecuador、ケチュア語：Kitu）、正式名称はサン・フランシスコ・デ・キト（San Francisco de Quito）は、エクアドル共和国のシエラ（アンデス地域）ピチンチャ県にある都市です。エクアドルの首都でありピチンチャ県の県都（県庁所在地）となっている街です。赤道直下に位置していますがアンデス山脈の標高 2,850メートルと高地にあるため冷涼な気候となっています。キトの人口は 2,011,388人（2020年現在、2010年国勢調査では人口 1,607,734人）、キト都市圏人口 3,156,182人（2020年現在）、エクアドル国内ではグアヤキルに次いで 2番目に人口の多い街です。キトは、アンデス山脈の活成層火山ピチンチャの東斜面の谷間に位置しています。面積 372.39平方キロメートル（143.78平方マイル）、都市圏面積 4,217.95平方キロメートル、海抜 2,850メートル（9,350フィート）、南緯 0度13分12秒 西経 78度30分45秒です。キトは、サンアントニオ教区の首都圏の北部を通る赤道に最も近い首都です。
キトの標高は 2,850メートル（9,350フィート）で、世界で最も高い首都、あるいは 2番目に高い首都となっています。この多様な地位（1位か2位か）は、ボリビアが複数の首都を持つ国であるためです。ラパスをボリビアの首都とみなす場合、ラパスが最も高い首都となりますが、スクレを首都とする場合は、キトに次いで 2番目に高い首都となります。
キトは 15世紀末にインカ帝国の版図に組み入れられ、16世紀初頭にはインカ帝国第2の首都とされ、クスコからキトまでインカ道が整備されました。スペイン侵略によりインカ帝国滅亡の過程でキトの街は破壊されましたが、1534年にフランシスコ・ピサロがキトへの入植を開始し、街は「サン・フランシスコ・デ・キト（San Francisco de Quito）」と名付けられました。現在にも残る旧市街（セントロ）が建設され、以後300年間スペインによる植民地支配が続きました。キトの歴史的中心部は、アメリカ大陸で最大規模かつ最もよく保存されているものの 1つです。旧市街にはスペイン植民地時代の教会をはじめとした建物が残されており、「キトの市街（City of Quito）」の名称でユネスコの世界遺産（文化遺産）に登録（1978年）されています。1978年の世界遺産登録はエクアドル初というだけでなく、世界遺産の制度が出来てから最初の登録です。
キトはエクアドルの政治・文化の中心地であり、主要な政府、行政、文化機関が市内に集まっています。エクアドルに拠点を置く多国籍企業の大半は、キトに本社を置いています。また、キトは同国の二大工業都市の一つでもあり、もう一つは港湾都市のグアヤキルです。
最初の居住地は不明ですが、考古学的証拠から、紀元前 4400年から 1600年の間に定住者が居住したと示唆されています。15世紀後半、インカ皇帝ワイナ・カパックは、この地域の先住民であるキトゥ族を滅ぼし、キトをインカ帝国に併合し、インカ帝国北部の首都に定めました。1534年のスペインによる征服が、キトの公式創設日として最も頻繁に挙げられており、キトは南米最古の首都となっています。
キト イメージ（ベネズエラ通りから見たヴォト・ナシオナル大聖堂（Basílica del Voto Nacional as seen from Venezuela street））
キトの観光名所としては、キト旧市街（世界遺産）、サンフランシスコ広場（Plaza San Francisco）、サン・フランシスコ聖堂・修道院（Iglesia y Convento de San Francisco, Quito、1535年築、南アメリカ大陸最古のカトリックの宗教建造物）、独立広場（プラザ・グランデ、Independence Square（Plaza Grande））、キト大聖堂（Metropolitan Cathedral of Quito、1572年築（1660年/1755年/1797年の大震災で都度修復）、エクアドルの初代大統領フアン・ホセ・フローレスとボリビアの初代大統領アントニオ・ホセ・デ・スクレの棺を安置）、大統領府、カロンデレット宮殿（Carondelet Palace）、キト市庁舎（Municipal Palace）、ホテル・プラザ・グランデ（Hotel Plaza Grande、独立広場に面する5つ星高級ホテル）、ドミニコ会修道院（バロック様式の建築物、17世紀初頭に建築、キト最古の街路「ロンダ通り」沿い）、サント・ドミンゴ聖堂（Church of Santo Domingo、18世紀前半、ドミニコ会修道院の向かい側）、ラ・メルセー聖堂（托鉢修道会に属するメルセス会の聖堂、植民地時代終盤の18世紀に建築、聖堂に祀られている聖母マリア像は1575年製作のキト最古のマリア像、鐘楼の高さ 47m（建築時はキトで最も高い塔））、ラ・コンパーニア聖堂（Church of la Compañía de Jesús, Quito、イエズス会の聖堂、イタリア・バロックとスペイン・バロック様式が融合した教会堂、1605年着工、1766年完成）、サン・アグスティン聖堂（アグスティン会の聖堂、16世紀末創建、現在の聖堂は1868年の地震の後に修復）、エル・サグラリオ教会（Iglesia de El Sagrario, Quito）、エクアドル国立博物館（National Museum of Ecuador）、現代美術館（Museo de Arte Contemporaneas）、カーサ・アラバド博物館（Casa del Alabado、サンフランシスコ広場、インカ時代の美術品を展示）、キト市立歴史博物館（Museo de la Ciudad）、ラ・キャピラ・デル・ホンブレ（人間の礼拝堂、La Capilla del Hombre、エクアドル人画家オズワルド・グアヤサミン（Oswaldo Guayasamín、1919年7月6日生～1999年3月10日没）の作品を展示）、エクアドル国立医学博物館（Ecuador National Museum of Medicine）、スクレの家＆博物館（Museo Casa de Sucre、アントニオ・ホセ・デ・スクレ（Antonio José de Sucre、南アメリカの諸国をスペインから独立に導いた軍人、第2代ボリビア大統領）の生涯を紹介）、マヌエラ・サエンツ美術館（Museo Manuela Sáenz）、ヴォト国立大聖堂（Basílica del Voto Nacional）、エル・パネシーリョの丘（El Panecillo、標高 3,016m、キト市街を一望できる場所）、ラ・マリスカル地区（La Mariscal、キト新市街の娯楽エリア）、フォッシュ広場（Plaza Foch (La Zona)）、グアンギルタグア・メトロポリタン公園（Parque Metropolitano Guanguiltagua）、エル・エヒード公園（Parque El Ejido）、バイセンテニアリオ公園（Parque Bicentenario）、ラ・カロリーナ公園（La Carolina）、赤道記念碑「ミッター・デル・ムンド」（キトから北へ23キロメートルの場所）、セントラル・デル・エクアドル大学（Universidad Central del Ecuador）などがあります。
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