カナダ東部にある都市であるケベック・シティ(ケベック市、フランス語:Ville de Québec、英語:Quebec City)は、ケベック州の州都となっている都市です。2021年7月現在、市の人口は 549,459人、国勢調査都市圏(周辺地域を含む)の人口は 839,311人です。カナダで 12番目に大きい都市であり、7番目に大きい都市圏です。また、ケベック州ではモントリオールに次いで州内で 2番目に大きい都市でもあります。湿潤大陸性気候で、夏は暖かく、冬は寒くて雪が降ります。面積 452.30平方キロメートル(174.63平方マイル)、標高 98メートル(322フィート)、北緯 46度48分50秒 西経 71度12分29秒(北海道宗谷岬のさらに北にあるサハリン島南部のユジノ・サハリンスクと同程度の緯度)です。
17世紀フランスの探検家・地理学者のサミュエル・ド・シャンプラン(Samuel de Champlain、1567年もしくは1570年生~1635年12月25日没、「ヌーヴェル・フランスの父」の呼び名がある人物)は、1608年にセント・ローレンス川流域にフランス人入植地(ケベック植民地)を設立し、アルゴンキン語(Algonquin)の名前を採用しました。ケベック・シティは、北アメリカ大陸で最も古いヨーロッパ人入植地の 1つです。ケベック・シティ旧市街(旧ケベック(ヴュー・ケベック))を囲む城壁は、メキシコ北部のアメリカ大陸に現存する唯一の城郭都市です。この歴史ある旧市街は、1985年に「ケベック歴史地区(ケベック旧市街の歴史地区、Historic District of Old Québec)」としてユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されました。
ケベック・シティ地図(Map of Quebec City)
地図サイズ:560ピクセル X 560ピクセル
ケベック・シティ 観光
ケベック・シティは、ウィンター・カーニバル、夏の音楽祭、そしてサン=ジャン=バティストの日(ケベック州の祝日)の祝賀行事で知られています。かつて存在したケベック動物園(Jardin zoologique du Québec)は、大規模な改修を経て2002年に再オープンしましましたが、2006年に完全に閉鎖されました。同動物園では、300種、750頭(匹)の動物が飼育されていました。鳥類や庭園をテーマにした展示に強みを持っていましましたが、哺乳類も数種類飼育されていました。ケベック州固有の動物相に重点を置いていた一方で、主要な見どころの一つに、建設費1400万ドルを投じて造られた「インド・オーストラリア温室」がありました。ここには、インド洋周辺地域の動植物が展示されていました。
ケベック・シティには、ケベック要塞(シタデル)、ケベック州立美術館、ケベック・ウルスリーヌ修道院、文明博物館など、数多くの史跡、美術館、博物館があります。
ミシェル・グランボワ(Michèle Grandbois)が執筆し、アート・カナダ・インスティテュート(The Art Canada Institute)から出版された書籍「Quebec City Art & Artists:An Illustrated History」は、ケベック州の州都であるこの街を特徴づける、複雑な植民地時代の歴史、多様な創造性、そして重要な芸術家たちについて、これまでになく詳細に掘り下げています。本書は、ヨーロッパ人との接触以前の先住民の伝統から、4世紀にわたる植民地時代の歴史を経て、ケベック・シティにおける芸術活動の変遷をたどっています。本書で取り上げられている主な芸術家には、クロード・フランソワ、ザカリ・ヴァンサン・テラリ=オ=リン、ジュール=エルネスト・リヴェルノワ、ジャン・ポール・ルミュー、ディアーヌ・ランドリー、そしてBGLなどが含まれます。
セントローレンス川を見下ろす場所に位置し、2002年に再オープンしたケベック水族館(Parc Aquarium du Québec)には、北米や北極圏に生息する哺乳類、爬虫類、魚類など、1万点を超える生き物が展示されています。北極圏のホッキョクグマやさまざまな種類のアザラシ、そして下から観察できる巨大な水槽「ラージ・オーシャン(Large Ocean)」などが、同水族館の主要な見どころとなっています。その他の観光スポットとしては、モンモランシーの滝が挙げられます。また、市域のすぐ外には、サント=アンヌ=ド=ボープレ大聖堂、モン=サン=タンヌ・スキーリゾート、そしてアイスホテルがあります。
セントローレンス川を見下ろす「カップ・ディアマン(Cap Diamant)」という巨大な岩塊と、その頂上に築かれたシタデル(要塞)の存在から、チャールズ・ディケンズはケベック・シティを「北米のジブラルタル」と評しました。
この街の著名な伝統的建築物の多くは、城壁の内側およびその麓に広がる「ヴュー・ケベック(旧市街)」に集中しています。石造りの建物が並び、曲がりくねった通り沿いに店やレストランが立ち並ぶこのエリアは、ヨーロッパの雰囲気を色濃く漂わせています。現代的なダウンタウンから城壁を抜ける主要な入り口として、「サン・ルイ門(Porte Saint-Louis)」と「サン・ジャン門(Porte Saint-Jean)」があります。また、「ケント門(Kent Gate)」はヴィクトリア女王からこの州へ贈られたもので、1879年6月11日、女王の娘であるローン侯爵夫人ルイーズ王女によって礎石が据えられました。城壁の西側には「パーラメント・ヒル(議事堂の丘)」エリアが、南側には「アブラハム平原」が広がっています。
上層の街と下層の街は、数多くの階段(「首の折れる階段」を意味する「エスカリエ・カス・クー/Escalier « casse-cou »」など)や、歴史ある「プティ・シャンプラン通り(Rue du Petit-Champlain)」にあるケーブルカー(フニキュレール)によって結ばれています。この通りには小さなブティックが数多く軒を連ねています。近くにある小さな広場「プラス・ロワイヤル(Place Royale)」は、現在、絵のように美しい石造りの建物に囲まれており、1608年にシャンプレーンがこの街を建設した場所です。広場には「ノートルダム・デ・ヴィクトワール教会」が建っています。また、川沿いの近くには「文明博物館(Musée de la Civilisation)」もあります。
パーラメント・ヒルに建つ「エディフィス・マリー・ギュイヤール(Édifice Marie-Guyart)」や「ル・コンコルド(Le Concorde)」といったコンクリート製の高層ビル群に加え、街の景観を象徴しているのが、カップ・ディアマンの頂上にそびえ立つ巨大なホテル「シャトー・フロントナック」です。このホテルは建築家ブルース・プライスによって設計されたもので、カナダ太平洋鉄道(CPR)が建設した一連の「シャトー様式」ホテルの一つです。同鉄道会社は、豪華な観光旅行を促進し、裕福な旅行者を自社の列車に呼び込むことを目指していました。シャトー・フロントナックの隣には、崖の縁に沿って設けられた遊歩道「テラス・デュフラン(Terrasse Dufferin)」があり、ここからセントローレンス川の眺望を楽しむことができます。テラスの先には、かつてイギリス軍がフランスからケベックを奪取した戦いの地である「アブラハムの平原」や、カナダ軍の施設であり、連邦副総督の公邸の一つでもある「ケベック要塞(シタデル)」が広がっています。ケベック州議会の議場である州議会議事堂も、この要塞の近くに位置しています。
シャトー・フロントナックの近くには、ローマ・カトリック教会ケベック大司教区の母教会である「ケベック・ノートルダム大聖堂」があります。この教会は、新大陸において初めてバシリカの地位を与えられた教会であり、カナダにおける首座教会でもあります。ケベック市およびその周辺地域には、カナダの国定史跡が 37か所存在します。
最も注目すべき場所の一つに「戦場公園(The Battlefields Park)」があります。ここには 50門の歴史的な大砲が展示されており、「アブラハム平原(Plains of Abraham)」も含まれています。公園からはセントローレンス川を望むことができ、ジャンヌ・ダルクの騎馬像やマルテロ塔(防衛塔)など、数多くの歴史的建造物や彫像が点在しています。歴史的にこの地は、七年戦争におけるイギリスの決定的な勝利となった「アブラハム平原の戦い(1759年)」の舞台です。この戦いにより、後のカナダとなる地域におけるフランスの支配は終焉を迎えました。また、アメリカ独立戦争中の「ケベックの戦い(1775年)」もここで行われ、イギリスは北米領土の北端における最後の拠点を死守することに成功しました。
その他、市中心部に位置する大きな公園として、ヴィクトリア公園(Parc Victoria)、メズレ公園(Parc Maizerets)、カルティエ=ブレブフ国立史跡(Cartier-Brébeuf National Historic Site)などが挙げられます。ケベック市最大の公園はショーヴォー公園(Parc Chauveau)で、市内を流れるサン=シャルル川がその郊外区間を横切っており、全長31キロメートルに及ぶサン=シャルル川沿いの線形公園の一部を成しています。ショーヴォー公園には屋内サッカー場があるほか、季節に応じてカヌー、釣り、クロスカントリースキーといったアクティビティを楽しむことができます。この他にも、ボーポール湾(Beauport Bay)のビーチや、北端の湿地帯である「マレ・デュ・ノール(Marais du Nord)」などがあります。
ケベック・シティの観光名所としては、旧市街アッパー・タウン(Upper Town, Vieux-Québec)、ノートルダム大聖堂(La Basilique-Cathédrale Notre-Dame de Québec)、ダルム広場(Place d'Armes)、北米フランス博物館(ケベック神学校跡)、ホーリー・トリニティー教会(三位一体聖公会教会)、ケベック・シティ市庁舎、ケベック要塞(La Citadelle de Québec、シタデル、1820年から1857年にかけて築城された星型の要塞)、旧市街ロウワー・タウン(Lower Town, Vieux-Québec)、ロワイヤル広場(Place Royale、ケベック・シティ発祥の地)、ロワイヤル・バッテリー(ロワイヤル砲台、Royal Battery)、勝利のノートルダム教会、文明博物館(Musée de la civilisation)、旧港(ヴュー・ポール)、ケベック旧港市場、ケベック美術館、AMLクルーズ(Croisières AML、ガイド付きツアー、レストラン、ホエールウォッチング)、ユネスコ・モニュメント(ユネスコ記念碑、Monument de l'UNESCO)、プレスコット門(Porte Prescott)、モンモランシー公園 国定歴史地区(Lieu historique national du Parc-Montmorency)、ケベックの壁画(La Fresque des Québécois)、エスカリエ・カッセ=クー(Escalier Casse-Cou、首折り階段)、旧市街のフニクレール(フニクレール・デュ・ヴュー=ケベック、Funiculaire du Vieux-Québec、ケベック旧市街にあるフニクラー鉄道(ケーブルカー))、テラス・デュフラン(Dufferin Terrace)、プチ・シャンプランの壁画(Fresque du Petit-Champlain)、キオスク・プレシス(Kiosque Plessis)、テラス・ピエール・デュグア・ド・モンス(Terrasse Pierre-Dugua-de-Mons)、バスション=デ=ラ=レーヌ公園(Parc du Bastion-de-la-Reine)、総督の遊歩道(プロムナード・デ・グーベルヌール、Promenade des Gouverneurs)、ケベック海事博物館(Naval Museum of Quebec)、ケベック港のオアシス(L’Oasis du Port de Québec、プール施設)、ケベック港マリーナ(Marina du Port de Québec)、リロ宮殿(The Palace of L'Îlot)、パレ駅(ケベック・シティ駅、Gare du Palais)、ケベック・シティ裁判所(Palais de justice de Québec)、アメリック=ラティーヌ公園(Parc de l'Amérique-Latine)、ジョセフ・サムソン橋(Pont -Tunnel Joseph-Samson, Québec, QC)、レピーヌ階段(Lépine Stairs)、ケベック・シティの城壁(フォンデリー・ド・ラルセナル、Fonderie de l'Arsenal)、モリン・センター(Morrin Centre、1808年に建てられた市営刑務所を利用した文化センター)、フォンテイン・デ・トーニー(トーニー噴水、Fontaine de Tourny)、ケベック州議事堂(Hôtel du Parlement du Québec)、ケベック・コンベンション・センター(Centre des congrès de Québec)、キャピタル展望台(Observatoire de la Capitale)、アブラハム平原博物館(The Plains of Abraham Museum)、モンモランシー滝(Chute-Montmorency)などがあります。
ケベック市は、セントローレンス川南岸に位置するレヴィ市およびその郊外と、2つの橋(ケベック橋とピエール・ラポルト橋)およびフェリー航路で結ばれています。また、オルレアン島橋が、ケベック市と牧歌的な風景が広がるオルレアン島をつないでいます。
ケベック市は、同州の高速道路網における重要な拠点であり、「人口 1000人あたりの高速道路車線キロメートル数」は 1.10キロメートルに達します。これはカルガリー(1.74キロメートル)、ハミルトン(1.61キロメートル)、エドモントン(1.24キロメートル)に次ぐ、国内有数の高い数値です。高速道路40号線(Autoroute 40)は、西はモントリオールやオタワ方面へ、東はサント=アンヌ=ド=ボープレやシャルルヴォワ地方へと続いています。高速道路20号線(Autoroute 20)はセントローレンス川南岸に沿って走り、西はモントリオールやトロント方面へ、東はリヴィエール=デュ=ルー、リムスキ、そして大西洋岸諸州(マリタイム・プロヴィンシズ)へとつながっています。高速道路73号線(Autoroute 73)は都市圏を南北に貫く路線であり、南はサン=ジョルジュ、ボース地方、米国メイン州方面へ、北はサグネやラック=サン=ジャン地方へと結んでいます。
都市圏内では、高速道路40号線、73号線、およびいくつかの支線が、都心部と郊外を結んでいます。
高速道路573号線(アンリ4世高速道路)は、ケベック市とカナダ軍ヴァルカルティエ基地(CFB Valcartier)を結んでいます。高速道路740号線(ロベール・ブラッサ高速道路)は、南北に走る環状道路(インナーベルト)の役割を担っています。高速道路440号線は、都心部の西側と東側にそれぞれ独立した区間として存在しています。当初は都心部の地下を通るトンネルで接続される計画でしたが、現在は 6kmの区間が途切れたままとなっており、これらをつなぐ計画は現時点ではありません。西側の区間(シャレスト高速道路/Autoroute Charest)は、高速道路40号線および73号線と、東西に走る主要幹線道路であるシャレスト大通り(Boulevard Charest)を結んでいます。一方、東側の区間(デュフラン=モンモランシー高速道路/Autoroute Dufferin-Montmorency)は、市内中心部とボーポール(Beauport)地区、およびモンモランシーの滝(Montmorency Falls)を結んでいます。
この地域の公共交通機関は、ケベック首都圏交通局(Réseau de transport de la Capitale、略称:RTC)が担っています。RTCはバスを運行しており、近年では連節バスも導入しました。同局は、最も利用者の多い路線における混雑緩和と、公共交通機関への新たな利用者の誘致を目的として、路面電車(トラム)の再導入を検討しています。この 20億ドル規模の活性化プロジェクトには、市単独では資金を賄うことができないため、上位政府(州政府や連邦政府)の承認が必要です。「TramCité(トラムシテ)」と名付けられたこのプロジェクトは、2026年時点で開発が進められています。
鉄道輸送については、VIA鉄道(Via Rail)が「パレ駅(Gare du Palais)」を拠点に運行を行っています。同駅は、VIA鉄道の主要路線である「ケベック・シティ—ウィンザー回廊」の東の終点となっています。鉄道駅に隣接して都市間バス乗り場があり、州内の長距離バス網と接続しています。ここからは「オルレアン・エクスプレス(Orleans Express)」や「インターカー(Intercar)」といったバス事業者が運行を行っています。
ケベック・シティには、市内中心部から西へ13キロメートル(8.1マイル)の場所に、ジャン・ルサージュ国際空港(Jean Lesage International Airport)があります。
ケベック港(Port of Quebec)は、セントローレンス川に面した港湾であり、第1、第5、第6行政区に施設を有しています。
ケベック・シティへの交通アクセスは、飛行機ではケベック・ジャン・ルサージ国際空港(Québec City Jean Lesage International Airport)、鉄道では VIA鉄道のパレ駅(ケベック・シティの中央駅、通称はケベック・シティ駅)があります。
フランスのパリからケベック・シティまで飛行機(直行便、3便/週)で 7時間30分です。
アメリカ合衆国シカゴから飛行機(直行便、3便/日)で 2時間30分、ニューアークから飛行機(直行便、2~3便/日)で 1時間40分です。
カナダの最大都市トロントからケベック・シティまで飛行機(直行便、9~11便/日)で 1時間25分、カナダの首都オタワから飛行機(直行便、6便/週)で 1時間5分です。ケベック州内ではモントリオールからケベック・シティまで飛行機(直行便、11~14便/日)で 35分、モントリオールから車・バスで 2時間40分(北東へ道なりで 260km)、トロワ・リヴィエールから車やバスで 1時間25分(北東へ道なりで 130km)です。ケベック・シティからシェルブルックまで車やバスで 2時間30分(南西へ道なりで 235km)、サグネまで車やバスで 2時間25分(北へ道なりで 215km)です。
カナダにおけるケベック・シティの位置が判る地図(Map of Quebec City, Quebec, Canada)
地図サイズ:560ピクセル X 400ピクセル
ケベック州におけるケベック・シティの位置が判る地図
ケベック・シティの交通機関と主要な地区
ケベック・シティの交通機関
1. ケベック・ジャン・ルサージ国際空港 / Quebec/Jean Lesage International Airport:ケベック・シティ市街中心部から車で21分(西へ道なりで15.5km)、地図外左
2. ケベック・シティ・パレ駅 / La Dare de Palais (Palais Railway Station):VIA鉄道の東部近距離特急「コリード」が発着(トロント、オタワ、モントリオール行き)、駅の北側にはバスディーポがあります。
6. ケベック要塞(シタデル) / La Citadelle de Québec:イギリス統治時代の1820年から1857年にかけて築城された星型の要塞です。カナダ最大の規模で、現在も軍事基地としての機能を維持しカナダ陸軍第22連隊が駐屯しています。夏季の6月24日から9月7日まで毎日10時に衛兵交代式が行われます。
7. ケベック美術館 / Musée national des beaux-arts du Québec (National Museum of Fine Arts of Quebec)
8. モンモランシー滝(シュット・モンモレンシー) / Parc de la Chute-Montmorency:モンモランシー川がセント・ローレンス川に合流する場所から約750メートル上流にある落差83メートルの滝です。ケベック・シティ市街中心部からモンモランシー滝まで車で15分(北東へ道なりで14km)