最も人気のある登山ルートは、「Voie Royale(ヴォワ・ローヤル)」の名称で知られる「Voie Des Cristalliers」で、1泊2日の登山コースです。モンブラン山頂から北西へ約13kmの場所にあるフランス側のサン=ジェルヴェ=レ=バン(Saint-Gervais-les-Bains)から登山鉄道「Tramway du Mont-Blanc (TMB)」に乗り、終点のニー・デーグル駅(Nid d'Aigle、標高 2,372m)まで行きます。ニー・デーグルから登山道を歩き、駅から約3kmのテート・ルース小屋(Refuge de Tête Rousse、標高 3,167m)まで整備された登山道を約2時間ほどかけて登ります。テート・ルース小屋からグーテ小屋(Refuge du Goûter、標高 3,817m)までは、距離にして約1kmですが標高差が650メートルあり、岩肌に雪が付いた危険な場所(頻繁に落石あり)での岩尾根の登ることになり、約3時間かかります。岩肌を登りきった場所(エギュー・デュ・グーテの北側約200m)に初日の宿泊場所であるグーテ小屋があります。2日目に登頂し、麓の街まで下山します。と言うことで、2日目の山小屋出発は、遅くても未明の3時ころです。まず氷河を進み、標高 4,304メートルのドーム・デュ・グーテ(Dôme du Goûter)を目指します。ドーム・デュ・グーテの頂上をトラバースし、更にズンズン進み標高 4,362メートルのバロ避難小屋(Refuge-Bivouac Vallot)まで行き小休止となります。グーテ小屋からバロ避難小屋まで休まずに約2時間半の行程です。バロ避難小屋からボス山稜(モンブラン山頂から北西にのびる稜線)への登りが始まります。稜線を登りきった場所がモンブラン山頂(標高 4,810m)です。バロ避難小屋からモンブランまで標高差にして約450メートルで、約2時間半の行程です。順調に行けば、モンブラン山頂には朝8時過ぎもしくは9時前に立てます。モンブランの展望をちょっと楽しみ、直ぐ下山です。グーテ小屋まで2時間で下れると思います。グーテ小屋からニー・デーグル駅までは約4時間です。
「La Traversée(= 縦走コース)」とも呼ばれる「La Voie des 3 Monts(= 三山ルート)」登山コースがあります。登山の拠点となるのは標高 1,035メートルのシャモニー(Chamonix)で、シャモニーからロープウェイ(Téléphérique de l'Aiguille du Midi)で標高 3,842メートルのエギーユ・デュ・ミディ(Aiguille du Midi、ミディ針峰)まで一気に駆け上ります。エギーユ・デュ・ミディから南へ伸びる稜線を少し下った場所にコスミック小屋(Refuge des Cosmiques)があり、この山小屋で一夜を過ごします。因みにこの山小屋のある場所はコル・デュ・ミディ(Col du Midi)です。2日目は早朝に山小屋を出発し、モンブラン・デュ・タキュル(Mont Blanc du Tacul、標高 4,248m)とモン・モディ(Mont Maudit、標高 4,465m)を経て、モンブランに登頂します。
ロープウェイや登山鉄道の無かった時代の登山コースは、シャモニーからグラン・ミュレ小屋(Refuge des Grands Mulets)まで登り、更にボソン氷河を上り詰めモンブランに至る登山コースが利用されていました。
イタリア側からモンブランへ登るルートとして「La route des Aiguilles Grises(エギュイユ・グリズ・ルート)」登山コースがあります。ミアジェ氷河(Miage Glacier)を登り、初日はゴネッラ小屋(Gonella refuge)に泊まります。翌日の未明に山小屋を出発し、稜線鞍部(Col des Aiguilles Grises)まで上り詰め、ドーム・デュ・グーテを経てモンブランに至ります。