王家の谷(英語:Valley of the Kings)、別名「王家の門の谷(Valley of the Gates of the Kings)」は、エジプト中南部のルクソールにある地域で、エジプト第18王朝(Eighteenth Dynasty、紀元前 1570年頃~紀元前 1293年頃)から第20王朝(Twentieth Dynasty、紀元前 1185年頃~紀元前 1070年頃)にかけての約 500年間、古代エジプト新王国時代のファラオや有力貴族の岩窟墓が発掘された場所です。
ナイル川西岸のワディで、テーベ(現在のルクソール)の対岸に位置し、テーベのネクロポリス(墓地)の中心に位置しています。主に 2つの区域に分かれており、王家の墓の大部分が位置する東の谷と、猿の谷としても知られる西の谷です。
2005年に新たな墓室が発見され、2008年にはさらに 2つの墓の入り口が発見されたことから、王家の谷には 65の墓と部屋が存在することが分かっています。その規模は、簡素な穴墓であるKV54から、ラムセス2世の息子たちの 120以上の部屋を持つ複雑なKV5墓まで様々です。ここは、新王国時代の主要王族や多くの特権階級の貴族の主要な埋葬地です。王家の墓はエジプト神話の伝統的な場面で装飾されており、当時の葬儀の慣習や来世への信仰を垣間見ることができます。ほとんどすべての墓は古代に開けられ、略奪されたようですが、それでもエジプトのファラオの富と権力を偲ばせることができます。
この地域は 18世紀末以来、エジプト学者や考古学調査の焦点となっており、その墓や埋葬地は今もなお研究と関心を刺激し続けています。王家の谷は、1922年のツタンカーメン王の墓の発見を契機に大きな注目を集め、世界で最も有名な考古学遺跡の一つとなっています。1979年には、テーベのネクロポリス(墓地遺跡)の他地域と共に「古代都市テーベとその墓地遺跡(Ancient Thebes with its Necropolis)」の名称でユネスコ世界遺産(文化遺産)に登録されました。この地域では、現在も調査、発掘、そして保存活動が続けられており、最近、新しい観光センターがオープンしました。
王家の谷 イメージ(アル・クルン、テーベ丘陵地帯の最高峰(420m))
王家の谷にある主要な王墓
古代エジプト第18王朝の王の墓
ツタンカーメン王墓 / Tomb of King Tutankhamun(KV62):古代エジプト第18王朝の第12代ファラオ・ツタンカーメン(Tutankhamun、紀元前1,342年頃生 - 紀元前1,324年頃没、在位:紀元前1,333年頃から紀元前1,324年頃)の墓、玄室にツタンカーメン王のミイラが安置されています。玄室正面の壁にオシリス神の姿をしたツタンカーメン王と後継者のアイ王が描かれています。
トトメス1世王墓 / Tomb of Thutmose I(KV38):古代エジプト第18王朝の第3代ファラオ・トトメス1世(Thutmose I、在位:紀元前1,524年から紀元前1,518年もしくは紀元前1,506年から紀元前1,493年)の墓
ハトシェプスト女王墓 / Tomb of Hatshepsut(KV60):古代エジプト第18王朝の第5代目のファラオ・ハトシェプスト女王(Hatshepsut、在位:紀元前1,479年頃から紀元前1,458年頃)の墓
トトメス3世王墓 / Tomb of Thutmose III(KV34):古代エジプト第18王朝の第6代目のファラオ・トトメス3世(Thutmose III、在位:紀元前1,479年頃から紀元前紀元前1,425年頃)の墓、玄室に美しい線描画があります。
アメンホテプ2世王墓 / Tomb of Amenhotep II(KV35):古代エジプト第18王朝の第7代ファラオ・アメンホテプ2世(Amenhotep II、在位:紀元前1,453~紀元前1,419年もしくは紀元前1,427年~紀元前1,400年)の墓
トトメス4世王墓 / Tomb of Thutmose IV(KV43):古代エジプト第18王朝の第8代ファラオ・トトメス4世(在位:紀元前1,419年~紀元前1,386年もしくは紀元前1,401年~紀元前1,391年もしくは紀元前1,397年~紀元前1,388年)の墓
古代エジプト第19王朝の王の墓
ラムセス1世王墓 / Tomb of Ramesses I(KV16):古代エジプト第19王朝の初代ファラオ・ラムセス1世(Ramesses I、在位:紀元前1,295年から紀元前1,294年)の墓
セティ1世王墓 / Tomb of Seti I(KV17):古代エジプト第19王朝の第2代ファラオ・セティ1世(Seti I、在位:紀元前1,294年から紀元前1,279年)の墓