アメリカ合衆国で2番目に広い面積を持つテキサス州は、複数の気候帯に分かれ、場所により大きく天候が異なります。テキサス州北部は内陸ということもあり冬は比較的寒くなりますが、メキシコ湾岸地域では穏やかな過ごしやすい冬となっています。テキサス州は降水量もバラエティーに富んでいます。テキサス州西端に位置するエルパソ(El Paso)は年間降水量 8.7インチ(220mm)です。一方でテキサス州南東部では年間降水量 64インチ(1600mm)、テキサス北中部のダラス(Dallas)では年間降水量 37インチ(940mm)となっています。
夏場の平均最高気温としては、テキサス州の多くの地域では華氏 90度(32℃)程度ですが、テキサス西部の山間部で華氏 80度(26℃)程度、メキシコ湾岸のガルベストン島(Galveston Island)やリオ・グランデ・バレー(Rio Grande Valley)で華氏 100度(30℃)となります。なお夏場の夜間の気温は、テキサス西部の山間部で華氏 50度(14℃)程度、ガルベストン島で華氏 80度(27℃)程度になります。
雪は、テキサス州西部の山間部で年に数回降雪があり、テキサス北部で年間1回から2回程度、テキサス中部と東部では数年に一度の降雪があります。なおサンアントニオ(San Antonio)より南や沿岸部では殆ど雪は降りません。ただし、2004年のクリスマス・イブには大寒波が襲来し、サンアントニオから南へ約220kmの場所にあるキングズビル(Kingsville)からかなり南の場所で降雪量 6インチ(150mm)を記録しています。なお12月のキングズビルの平均最高気温が華氏 65度(18℃)である事を考えるとこの時の寒波がいかに凄いものであったかが判ります。
雷雨はテキサス東部と北部で多く発生し、竜巻はテキサス北部で多く見られます。テキサス州は全米で最も多くの竜巻が発生する州で年間平均で139の竜巻が発生しています。テキサス州北部での竜巻被害が最も多く、テキサスでの竜巻は4月から6月に集中して発生します。
テキサス州はメキシコ湾に面していることから、アメリカ合衆国の歴史に残る甚大な被害をもたらした幾つかのハリケーンの被害に遭遇しています。1875年9月15日のハリケーンでは当時カルフーン郡の群庁所在地であり湾岸地域の主要港湾都市であったインディアノーラ(Indianola)で約400人の死者が発生し、続いて1886年10月19日に別のハリケーンで街が破壊されました。これらのハリケーンにより、インディアノーラはゴーストタウンとなり、ガルベストンが湾岸地域の主要港湾都市となりました。1900年のガルベストン・ハリケーン(Galveston hurricane of 1900)は、米国史上最悪の自然災害となり、約8,000人(推定では最大1万2千人)の死者を出し、その後 都市が荒廃しました。ガルベストンは現在でも人口5万7千人の都市として存続していますが、ハリケーン常襲地帯の標高が低い場所にある事から1900年以降この地域の経済中心地はヒューストンへ移りました。その他に被害の大きかったハリケーンとしては、1915年のガルベストン・ハリケーン(1915 Galveston Hurricane)、1957年のオードリー・ハリケーン(Hurricane Audrey in 1957、死者 600人超)、1961年のカーラ・ハリケーン(Hurricane Carla in 1961)、1967年のベウラ・ハリケーン(Hurricane Beulah in 1967)、1983年のアリシア・ハリケーン(Hurricane Alicia in 1983)、2005年のリタ・ハリケーン(Hurricane Rita in 2005)、2008年のアイク・ハリケーン(Hurricane Ike in 2008)などがあります。