アウグストゥス廟(ラテン語:Mausoleum Augusti、イタリア語:Mausoleo di Augusto、英語:Mausoleum of Augustus)は、紀元前28年にローマ皇帝アウグストゥス(ラテン語:Augustus、紀元前63年9月23日生~紀元14年8月19日没、共和政ローマの政務官、ユリウス=クラウディウス朝ローマにおける初代元首(皇帝、在位:紀元前27年~紀元14年))がイタリアの首都ローマにあるカンプス・マルティウス(Campus Martius、「マルスの野」という意味、古代ローマにあった2平方キロメートルの広さの公共地域、現在のローマの第4リオーネ(区)であるカンポ・マルツィオ (Campo Marzio) に相当)に建てた大きな墓(霊廟)です。この廟は、テヴェレ川沿いのリペッタ通り(Via di Ripetta)との角近くのアウグスト・インペラトーレ広場(Piazza Augusto Imperatore)にあります。敷地は、サン・カルロ・アル・コルソ教会(San Carlo al Corso)とアラ・パキス博物館(Ara Pacis、ヒスパニアとガリアで大勝利を収め帰還するローマ皇帝アウグストゥスの栄誉を称えて元老院が製作させたパークス(平和の女神)の祭壇「アラ・パキス・アウグスタエ」を展示する博物館)の間にある数ブロック分の広さです。修復工事のため14年間閉鎖されていましましたが、2021年3月に一般公開が再開されました。
このアウグストゥス廟は円形で、土とレンガでできた同心円状のリングがいくつかあり、外側はトラバーチン石灰岩で覆われ、最上層には糸杉が植えられています。建物全体は円錐形の屋根とアウグストゥスの巨大なブロンズ像で覆われていました。
丸天井が屋根を支え、その下の埋葬スペースが開かれていた。アーチ型の入口の両側にはピンク色の花崗岩のオベリスクが 2本ありましたが、このオベリスクは撤去され、現在 1本はエスクイリーノ広場(Piazza dell'Esquilino、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂(Basilica of Santa Maria Maggiore)の北西側)に「オベリスク・エスクイリーノ(Obelisco Esquilino)」の名前で、もう 1本はクイリナーレ広場(Piazza del Quirinale)の南東隅にあるディオスクーリの噴水(Fontana dei Dioscuri)の横に「クイリナーレのオベリスク(Obelisco del Quirinale)」の名前で立っています。完成した霊廟は直径 90メートル(295フィート)、高さ 42メートル(137フィート)でした。
入口から霊廟の中心部まで廊下が伸びており、そこには 3つの壁龕のある部屋があり、そこには皇帝一家の遺灰を納めた金の壷が納められていました。入口の両側にある2本の柱には、アウグストゥスの功績と勝利を記した文書「Res Gestae Divi Augusti」が刻まれた青銅の銘板が取り付けられていました。霊廟の周囲には現代の公共公園に似た美しい公園があり、古代ローマの都市化が進んだカンプス・マルスの中心部に憩いの場を提供していました。