タドルム(パルミラ、アラビア語:تَدْمُر(Tadmor)、英語:Tadmor)は、シリア中部のホムス県にある都市です。タドルムの人口は 51,323人(2004年統計)、海抜 405メートル、北緯 34度33分36秒 東経 38度16分02秒です。古代世界ではシリア砂漠を横断するキャラバン・ルート上のオアシス都市「パルミラ」として繁栄していました。紀元前 3世紀頃から多くの地下墓地が造営され、ローマ支配下になるとローマ劇場や浴場などが整備されました。2世紀頃がパルミラの最盛期で、軍人皇帝時代(3世紀の危機)の270年から273年まではパルミラ帝国として独立状態にあり、北はアナトリア半島南東部からシリア・ヨルダンを経てエジプトまでを支配下に置きました。が、273年に皇帝ルキウス・ドミティウス・アウレリアヌス(在位 270年~275年)の親征により敗北し、以後はオアシス都市として復権できず、ローマ軍団の基地とされました。東ローマ帝国、イスラム朝の時代は徐々に衰退し、1089年の大地震を機にパルミラは完全に放棄され、街の遺構は砂漠に埋もれました。古代ローマ時代の遺構は「パルミラ遺跡(Site of Palmyra)」の名称でユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録(1980年、2013年からは危機遺産)されています。
タドルムの観光名所としては、パルミラの地下墳墓群、ベル神殿(Temple of Bel、紀元前1世紀、コリント様式の巨大な二重列柱廊、205 × 210メートル)、パルミラの列柱道路(Great Colonnade at Palmyra、長さ 1,200メートル)、ディオクレティアヌスの浴場(Baths of Zanobia)、ナブー神殿(ナボ神殿)、ファネラリ神殿(葬祭殿、Funerary Temple)、ローマ劇場(L'amphithéâtre Romain à Palmyre、1世紀初頭)、元老院、関税所(キャラバンの納税所)、アゴラ(古代の市場、48m×71m)、トリクリニウム(宴会場)、アラート神殿(西暦 2世紀)、ダマスカス門(Damascus Gate)とバール=シャミン神殿(西暦 17年に建立)、エラフベルの塔(Tower of Elahbel)、ディオクレティアヌス城砦(13世紀のマムルーク朝時代に築城、17世紀に拡張)、パルミラ博物館(Museum of Palmyra)、カレド・イブン・アル=ワリド・モスク(Khaled Ibn Al-Walid Mosque)、預言者ビラルのモスク(Bilal Mosque of Prophet)などがあります。