アメリカ合衆国中西部にあるイリノイ州は、北アメリカ大陸中央部(内陸奥深く)に位置し、州の南北が約400マイル(約600キロメートル)にもわたる長細い地形のため、バラエティーに富んだ気候になっています。イリノイ州のほとんどの地域は、冷帯湿潤気候(湿潤大陸性気候、ケッペン気候区分 Dfa)であり、夏は暑く湿度が高く、冬の冷え込みが厳しいのがイリノイの気候の特徴です。州南部に位置するカーボンデール(Carbondale)から州南端部は、より緩やかな冬となり、温暖湿潤気候(ケッペン気候区分 Cfa)です。イリノイ州の年間平均降水量は、州南端部で48インチ(約1200mm)以上あり、州北部では約35インチ(890mm)です。年間平均降雪量は、州北部に位置するシカゴ地域で38インチ(970mm)を超えますが、比較的温暖な州南部では降雪量が少なくなり14インチ(360mm)以下の降雪でしかありません。過去にイリノイ州で観測された最高気温は気温としてはイースト・セントルイス(East St. Louis)で1954年7月14日に記録された華氏 117度(47℃)、最低気温はコンガービル(Congerville)で1999年1月5日に記録された華氏 -36度(-37.8℃)です。
イリノイ州では年間平均で51日の激しい雷雨があり、この雷雨の日数は全米の平均日数を上回っています。また竜巻の多さでも有名であり、竜巻の年間平均発生数も35回を数ぞえ、年間単位面積当たり回数では5回/1万平方マイル(5回/26,000km2)となっています。国内でも被害の大きかった竜巻の多くがイリノイ州内で発生しており、1925年3月18日の3州竜巻(Tri-State Tornado)では死者695人を出し、その内 613人がイリノイ州の住民でした。他に被害の大きかった竜巻としては、1896年のセントルイス - イーストセントルイス竜巻(1896 St. Louis – East St. Louis tornado、イーストセントルイスでの死者 111人)、1917年5月竜巻(May 1917 tornado、チャールストンとマトゥーンで死者 101人)などが知られています。20世紀後半になると気象予測精度の向上と竜巻発生後の進路予測が出来るようになり竜巻被害が劇的に減少しています。20世紀後半の竜巻被害としては、1967年のベルビデール - オーク・ローン竜巻(1967 Belvidere – Oak Lawn tornado、死者 58人)、1990年のプレーンフィールド竜巻(1990 Plainfield tornado、死者 29人)があります。