エクアドルの気候と気温

　南アメリカ大陸北西岸（太平洋沿岸）の赤道に跨る場所に位置するエクアドルの気候は、多種多様の気候が混在しており、基本的には標高によって熱帯性気候から温帯性気候そして高山帯の気候へと変化していきます。基本としては、西部のコスタ（太平洋岸地域）はサバナ気候、中部山間地のシエラ（アンデス地域）は高地西岸海洋性気候、東部のオリエンテ（アマゾン地域）は熱帯雨林気候です。エクアドルの国土を横断する形で赤道が通っているため太平洋沿岸の低地には熱帯雨林が広がり多湿亜熱帯気候で、山間の谷は一年中穏やかです。太平洋沿岸エリアは激しい雨の降る雨季があり熱帯性気候となっています。アンデス高地の気候は温帯に比べ比較的乾燥しており、山地の東側にあるアマゾン盆地は、他の熱帯雨林ゾーンの気候と同じようなものです。エクアドルの首都キト（Quito）の気温と降水は、年間平均気温 15.6℃、年間平均最高気温 21.4℃、年間平均最低気温 9.8℃、年間降水量 1,098ミリメートル、年間降水日数 128日です。
　エクアドルは多様な地形を有し、気候変動の影響を非常に受けやすい国です。エクアドルには、アンティサナ、コトパクシ、チンボラソ、カヤンベ、イリニサス（北と南）、エル・アルタル、カリワイラソの 7つの氷河があります。これらの氷河はすべて、温室効果の影響を受ける火山の火口に位置しています。地球温暖化により、カリワイラソ氷河はすでに氷河表面の 96％を失っています。気候変動がさらに悪化すると、カリワイラソは 5年以内に消滅する可能性があります。2018年末までに、全国平均で氷河被覆率が 53％減少しました。氷河の縮小は自然現象として以前から存在していますが、過去 20年間の気候変動により氷河縮小が悪化しています。エクアドルのこれらの氷河は、太平洋からの大気循環とアマゾン地域の湿気を集めるため、気候に大きな役割を果たしています。

　CIAによると、エクアドルの総面積はガラパゴス諸島を含めて 283,571平方キロメートル（109,487平方マイル）です。このうち、276,841平方キロメートル（106,889平方マイル）が陸地で、6,720平方キロメートル（2,595平方マイル）が水域です。エクアドル政府外務省によると、総面積は 256,370平方キロメートル（98,985平方マイル）です。ガラパゴス諸島はオセアニアの一部と見なされることもあり、そのため、エクアドルは特定の定義では大陸横断国となります。エクアドルは南米のウルグアイ、スリナム、ガイアナ、フランス領ギアナよりも大きい国土です。
　エクアドルは北緯 2度から南緯 5度の間に位置し、西側は太平洋に面し、海岸線の長さは 2,337キロメートル（1,452マイル）です。陸地の境界線は 2,010キロメートル（1,250マイル）あり、北はコロンビア（国境線は 590キロメートル（367マイル））、東と南はペルー（国境線は 1,420キロメートル（882マイル））と接しています。エクアドルは赤道上に位置する最西端の国です。
　この国には 4つの主要な地理的地域があります。

ラ・コスタ（La Costa）または「海岸」: 海岸地域はアンデス山脈の西側にある州、エスメラルダス、グアヤス、ロス・リオス、マナビ、エル・オロ、サント・ドミンゴ・デ・ロス・ツァチラス、サンタ・エレナで構成されています。エクアドルで最も肥沃で生産性の高い土地で、ドール社とチキータ社の大規模なバナナ輸出農園がここにあります。この地域はエクアドルの米のほとんどが栽培されている場所でもあります。沿岸部にある州では漁業が盛んです。最大の沿岸都市はグアヤキル（Guayaquil）です。
ラ・シエラ（La Sierra）または「高地」: シエラは、アンデス山脈とアンデス山脈間の高地州、つまりアズアイ、カニャル、カルチ、チンボラソ、インバブラ、ロハ、ピチンチャ、ボリバル、コトパクシ、トゥングラウアで構成されています。この土地にはエクアドルの火山のほとんどと、雪をかぶった山々のすべてがあります。農業はジャガイモ、トウモロコシ、キヌアなどの伝統的な作物が中心で、人口の大部分はアメリカインディアンのキチュア人です。シエラ山脈最大の都市はキトです。
ラ・アマゾニア（La Amazonía）は、「エル・オリエンテ（El Oriente）」または「東」としても知られています。オリエンテは、モロナ・サンティアゴ、ナポ、オレリャーナ、パスタサ、スクンビオス、サモラ・チンチペなどのアマゾンのジャングル州で構成されています。この地域は主に、広大なアマゾン国立公園とアメリカ先住民の不可触民地帯で構成されています。不可触民地帯は、アマゾンのアメリカ先住民部族が伝統的な生活を続けるために確保された広大な土地です。また、エクアドルで最大の石油埋蔵量がある地域でもあり、ここのアマゾン上流の一部は石油会社によって広範囲に開発されています。人口は主にアメリカ先住民のシュアール、ワオラニ、キチュアの混血ですが、ジャングルの奥深くには接触の少ない部族が多数います。オリエンテ最大の都市はスクンビオスのラゴ・アグリオ（Lago Agrio）です。
ラ・レヒオン・インスール（La Región Insular）は、太平洋に浮かぶ本土から西に約 1,000キロメートル（620マイル）離れたガラパゴス諸島を含む地域です。

　エクアドルの首都で 2番目に大きい都市はキトで、シエラ地域のピチンチャ県にあります。標高 2,850メートルで 2番目に高い首都です。エクアドル最大の都市はグアヤス県のグアヤキルです。キトのすぐ南にあるコトパクシは、世界で最も高い活火山の 1つです。エクアドルの最高峰であるチンボラソ山（Mount Chimborazo、海抜 6,268メートル（20,560フィート））の頂上は、地球が楕円形であるため、地球表面で地球の中心から最も遠い地点です。アンデス山脈は、東に流れるアマゾン川流域と、南北に流れるマタヘ川、サンティアゴ川、エスメラルダス川、チョネ川、グアヤス川、ジュボネス川、プヤンゴ・トゥンベス川を含む太平洋を分ける流域です。

エクアドルの気候区分地図
エクアドル気候区分地図

エクアドル地図

キト月別気温（Temperature & Precipitation of Quito, Pichincha Province, Ecuador）：キトの気温グラフ、エクアドルの首都（人口 1,978,376人 = 2019年現在）でありピチンチャ県の県都、エクアドル第2の都市

月別	1月	2月	3月	4月	5月	6月	7月	8月	9月	10月	11月	12月
過去最高気温（℃）	33.0	28.6	32.0	25.6	30.4	29.0	31.0	27.0	29.0	27.0	29.3	29.0
平均最高気温（℃）	21.2	21.0	20.8	20.9	21.0	21.1	21.5	22.2	22.3	21.8	21.3	21.3
平均気温（℃）	15.5	15.6	15.5	15.6	15.6	15.5	15.5	15.9	15.9	15.7	15.5	15.5
平均最低気温（℃）	9.8	10.1	10.1	10.2	10.1	9.8	9.4	9.6	9.4	9.5	9.6	9.7
過去最低気温（℃）	3.0	4.7	5.1	5.3	2.5	3.0	3.0	2.2	3.4	4.2	2.5	2.5
降水量（mm）	82.5	111.0	146.6	171.2	105.5	39.5	21.5	27.7	68.9	114.9	108.5	100.4
降水日数（日）	10	11	15	15	13	7	5	5	11	14	11	11
月間日射量（時間）	197	140	122	136	164	189	249	256	196	177	197	215

キトの年間平均気温 15.6℃、年間平均最高気温 21.4℃、年間平均最低気温 9.8℃、年間降水量 1,098ミリメートル、年間降水日数 128日間、年間日照時間 2,238時間、世界気象機関（WMO = World Meteorological Organization）データ、アメリカ海洋大気庁（NOAA = National Oceanic and Atmospheric Administra）データ、湿度と日照時間はデンマーク気象協会（DMI = Danish Meteorological Institute）データ、南緯 0度13分西経 78度31分、標高 2,850メートル

グアヤキル月別気温（Temperature & Precipitation of Guayaquil, Guayas Province, Ecuador）：グアヤキルの気温グラフ、エクアドルの最大都市（人口 2,698,077人 = 2019年現在）、グアヤス県の県都

月別	1月	2月	3月	4月	5月	6月	7月	8月	9月	10月	11月	12月
平均最高気温（℃）	31	30	31	31	30	29	28	29	30	30	30	30
平均最低気温（℃）	22	22	23	22	22	21	20	20	20	20	21	22
降水量（mm）	195	261	237	157	31	5	6	0	0	2	1	22
降雨日数（日）	18	20	20	14	6	2	1	0	0	1	1	4

グアヤキルの年間平均気温 25.6℃、年間平均最高気温 29.9℃、年間平均最低気温 21.3℃、年間降水量 917ミリメートル

エクアドル主要都市の気温：
キト（エクアドルの首都、エクアドル第2の都市、ピチンチャ県の県都）、グアヤキル（エクアドルの最大都市、グアヤス県の県都）、
アンバート（エクアドル第12の都市、トゥングラワ県の県都）、イバラ（エクアドル第9の都市、インバブーラ県の県都）、エスメラルダス（エクアドル第13の都市、エスメラルダス県の県都）、カタマヨ（Catamayo）、カリアマンガ（Cariamanga）、クエンカ（エクアドル第3の都市、アスアイ県の県都）、ケベド（エクアドル第10の都市）、サリナス、サルマ（Zaruma）、サンタ・エレーナ（サンタ・エレーナ県の県都）、サント・ドミンゴ（エクアドル第4の都市、サント・ドミンゴ・デ・ロス・ツァチラス県の県都）、ダウレ（Daule）、チョネ（Chone）、トゥルカン（カルチ県の県都）、ヌエボ・ロカフエルテ（Nuevo Rocafuerte）、ヌエバ・ロハ（Nueva Loja、スクンビオス県の県都）、パサヘ（Pasaje）、バーニョス・デ・アグア・サンタ、ババオヨ（Babahoyo）、ビルカバンバ（Vilcabamba）、プエルト・フランシスコ・デ・オレジャーナ（Puerto Francisco de Orellana、オレリャーナ県の県都）、プーヨ（プージョ、パスタサ県の県都）、プラヤス（Playas）、ポルトビエホ（エクアドル第8の都市、マナビ県の県都）、マカラ（Macará）、マチャラ（エクアドル第5の都市、エル・オロ県の県都）、マンタ（エクアドル第7の都市、マナビ県の最大都市）、ミラグロ（エクアドル第15の都市）、ラタクンガ（エクアドル第16の都市、コトパクシ県の県都）、ラ・リベルタード、リオバンバ（Riobamba）、ロハ（エクアドル第11の都市、ロハ県の県都）
ガラパゴス諸島：サン・クリストバル島プエルト・バケリソ・モレノ

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