サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会（イタリア語: Basilica di San Pietro in Vincoli、英語：Basilica of Saint Peter in Chains、「鎖につながれた聖ペテロ」という意味）は、イタリアの首都ローマ中心部にあるローマカトリックの教会および小バシリカです。この教会は、コロッセオからすぐのカヴール地下鉄駅近くのオッピオの丘（Colle Oppio）にあります。この名前は、聖書のペテロ解放の物語に由来しています。
この教会は、16世紀初めのローマ教皇ユリウス2世（Pope Julius Ⅱ、1443年12月5日生～1513年2月21日没、第216代 ローマ教皇、在位：1503年～1513年）の墓の一部であるミケランジェロのモーゼ像を所蔵していることで最もよく知られています。ピオ・ラギの死後、ドナルド・ヴエルが 2010年に枢機卿司祭になりました。
かつて教会に関連する修道院だった隣接する建物には、ラ・サピエンツァ大学の工学部があります。紛らわしいことに、この学術機関には「サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ」という称号もあります。
「バシリカ・エウドキシアナ（イタリア語：Basilica Eudossiana）」としても知られるこの教会は、エルサレムで投獄されていた聖ペテロを縛っていた鎖の聖遺物を収めるために、紀元 432年から 440年に古い基礎の上に建てられました。この鎖は「聖ペテロの解放」と呼ばれるエピソードで知られています。母であるアエリア・エウドキア（Aelia Eudocia、401年生～460年没、東ローマ皇帝テオドシウス2世の皇后）から贈り物として受け取った皇后エウドキシア（リキニア・エウドクシア、Licinia Eudoxia、422年生～462年没、皇帝ウァレンティニアヌス3世（Valentinian III）の妻、のちペトロニウス・マクシムスの皇后）は、この鎖を教皇レオ1世（Pope Leo I、390年生～461年11月10日没、第45代 ローマ教皇、在位：440年9月29日～461年11月10日）に贈りました。アエリア・エウドキアがエルサレムの司教ユウェナリスから贈り物として鎖を受け取ったのは、おそらく438年から 439年の巡礼のときです。
この鎖は現在、バシリカの主祭壇の下の聖遺物箱に保管されています。1894年以来、鎖のリンクはアメリカ合衆国バーモント州ラトランドの聖ペテロ教会（St. Peter's Church and Mount St. Joseph Convent Complex）にも保管されています。世界中の多くの聖ペテロ教会には、大聖堂と聖遺物に関連する「Ad Vincula」という接尾辞が付いています。
この文脈で興味深いのは、聖ペテロの 2度の投獄です。伝説によると、レオ1世がエルサレムの鎖をローマのマメルティヌス監獄での聖ペテロの最後の投獄と比較したとき、2つの鎖が奇跡的に融合しました。
439年にシクストゥス 3世によって奉献されたこの聖堂は、教皇ハドリアヌス 1世による修復や 11世紀のさらなる作業など、何度か再建されました。1471年から 1503年にかけて、教皇ユリウス 2世に選出されたシクストゥス 4世の甥であるデッラ・ローヴェレ枢機卿は、注目すべき再建を成し遂げました。正面の柱廊はバッチョ・ポンテッリ作とされ、1475年に増築されました。回廊（1493年～1503年）はジュリアーノ・ダ・サンガッロ作とされています。1705年に建築家フランチェスコ・フォンターナの指揮下で天井が下げられ、1875年に再度改修が行われました。
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