カンタベリー大聖堂、聖オーガスティン修道院と聖マーティン教会(英語:Canterbury Cathedral, St Augustine's Abbey, and St Martin's Church)は、イギリスのイングランド南東部、ケント州カンタベリーに位置するカンタベリー大聖堂と聖オーガスティン修道院(セント・オーガスティン修道院)および聖マーティン教会(セント・マーティン教会)で構成されるユネスコの世界遺産(文化遺産、1988年登録)です。
カンタベリー大聖堂(Canterbury Cathedral)は、イギリス国教会の精神的中心地であり、世界規模の聖公会の象徴的な指導者であるカンタベリー大主教の大聖堂です。ケント州カンタベリーに位置し、イングランド最古のキリスト教建築の一つであり、世界遺産の一部となっています。正式名称は「カンタベリー・クライスト大聖堂および大主教座教会(Cathedral and Metropolitical Church of Christ, Canterbury)」です。
西暦 597年に創建されたこの大聖堂は、1070年から 1077年にかけて全面的に再建されました。東側は 12世紀初頭に大幅に拡張され、1174年の火災後にはゴシック様式で大部分が再建されました。1170年に大聖堂内で暗殺された大司教トーマス・ベケットの聖堂を訪れる巡礼者の流れに対応するため、東側に大幅な拡張が行われました。ノルマン様式の身廊と翼廊は 14世紀後半まで残っていましましたが、現在の建物の建設のために取り壊されました。
イングランド宗教改革以前、この大聖堂はカンタベリー・クライスト教会として知られるベネディクト会修道院共同体の一部であり、大司教の所在地でもありました。
聖アウグスティヌス修道院(St Augustine's Abbey、聖ペテロ・聖パウロ修道院(Ss Peter and Paul Abbey)として設立され、創設者であるカンタベリーの聖アウグスティヌス(St Augustine of Canterbury)の死後改称された)は、イングランド、ケント州カンタベリーにあったベネディクト会修道院です。修道院は 598年に設立され、1538年のイングランド宗教改革の際に解散するまで修道院として機能していました。修道院解散後、1848年まで建物は残りました。
1848年以降、敷地の一部は教育目的(カンタベリー・キングス・スクールの寄宿舎および図書館として使用)に利用されており、修道院跡は歴史的価値のために保存されています。