アニの考古遺跡(Archaeological Site of Ani)は、トルコ共和国北東部の東アナトリア地方カルス県にある世界遺産(文化遺産)で、トルコとアルメニア国境に位置しています。西暦 961年にアルメニアのバグラト朝の王であったアショット3世が都をカルスからアニに遷し、992年にはアルメニア教会の主教座(カトリコス)がアニに移され、10世紀後半にバグラト朝の政治・宗教の中心地となりました。ガギク1世の治世(989年~1020年)に最盛期となったアニの街には、人口が10万人を超え、1001のアルメニア教会があったとされています。ガギク1世亡き後に二人の息子による相続争いがあり、アニの衰退が始まりました。東ローマ帝国、セルジューク朝、グルジア王国などこの地域の大国の影響下の時代が続き、1236年にモンゴル帝国の侵略を受け、抵抗したものの落城し多くの住民が殺され、生き残った住民の一部はクリミア半島へ移住しました。モンゴル後、街は再興されたものの、1319年の大地震で著しく荒廃しました。衰退の勢いは止まらず、1441年にはアルメニアの主教座がアニからエレバンに遷されました。17世紀中頃までは城壁内に小さな集落が存在していましたが、1735年に最後まで残っていた僧侶が修道院を去り、アニは完全に放棄されました。